公認会計士はNumber風にベイスターズを語る

公認会計士の中で最も横浜ベイスターズファンと自負するファンがひたすらベイ愛を語るブログ。ただそれだけ。

本当は誰よりも熱い男梶谷隆幸について語りたい

 

 

 

ファンの目から見てプロ野球選手の人間性は見えづらいものだ。

 

 

 

ファンへの対応、試合中のプレー、インタビュー記事、オフシーズンのバラエティー番組の出演、あらゆる情報からファンは選手像を作り上げる。それは時になんとも適当な思い込みに基づいており、本当の姿が見えていないことがある。そう思わせてくれたのが梶谷隆幸という選手だ。今年で32歳のシーズンを迎える。

 

 

 

 

「無気力」に見えてしまう梶谷

 

 

梶谷は数多くいるプロ野球選手の中でもトップクラスの肉体、運動能力を持ち走・攻・守で高いパフォーマンスを示す選手だ。特に走塁面ではレギュラーとして活躍し始めた2014年シーズンは39盗塁でセ・リーグ盗塁王に輝き、そこから4年連続で20盗塁をマークしている。

 

 

 

 

 

守備面では外野手へコンバートした2014年以降はその持ち前の守備範囲の広さと肩の強さでリーグトップクラスの守備指標数値の高さを示している。ファンの記憶には数多くのファインプレーが記憶されている。

 

 

 

 

打撃も梶谷の魅力の一つで、長打力があり勝負強い。実際にブレイクした2013年以降は15~20本程度の本塁打をコンスタントに記録しており2塁打も多い。2015年はリーグトップの得点圏打率(.352)を残している。

 

 

 

一方で打撃面で特徴的に語られるのは三振数の多さだ。規定打席に到達した2014年以降で見ると2014年135個(リーグワースト3位)、2015年132個(リーグワースト3位)、2016年110個(リーグワースト4位)、2017年157個(リーグワースト1位)とかなりの三振率の高さだ。勝負強く長打力もあるが、読みが外れた時はあっけない気のないスイングで三振する。ファンの率直な梶谷の打撃に対する印象だ。

 

 

 

また梶谷はプレイ中に喜怒哀楽を出さない選手であり、三振した時も特に悔しそうにするわけでもなく、ベンチに淡々と引き上げていく。そんな姿からファンは、「能力はあるけどイマイチガッツが足りずやる気が無さそうに見える」選手という印象を抱きがちだ。

 

 

number.bunshun.jp

 

 

 

 

ファンの「梶谷像」が間違っていたと気づかされたあの2016年CS

 

 

 

 

2016年10月8日、東京ドームは異様な熱気に包まれていた。

 

 

 

 

横浜ベイスターズが初めてクライマックスシリーズの舞台に立つのだ。

 

 

 

セ・リーグクライマックスシリーズが導入された2007年から9年、ベイスターズクライマックスシリーズの出場権である「3位以上」という成績を残せていなかった。12球団唯一のクライマックスシリーズ未出場である。

 

 

 

 

それが2016年シーズン、3位という結果を残しついにファン待望のクライマックスシリーズに出場する。

 

 

 

1stステージのチケットは争奪戦と化し、一塁側三塁側立ち見を問わず信じられないほど多くの横浜ファンが東京ドームに詰めかけた。その大半が普段オレンジタオルに染まる東京ドームの観客席が青く染まったあの光景は忘れられない。

 

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スターティングメンバ―の中にはこの年打率.273本塁打18盗塁26という好成績を収めた梶谷隆幸が攻撃的2番として名を連ねていた。梶谷は第1戦でホームランを放つなど活躍するが、戦績は1勝1敗ともつれ、ファイナルステージへの進出は10月10日の第3戦に託される。

 

 

 

 

 

その第3戦1回表1死走者無し梶谷の第1打席、巨人先発内海が投じた8球目が梶谷の左手に直撃する。ベンチに一度戻った梶谷に代走関根が告げられる。左手薬指の骨折だった。

 

 

 

 

 

梶谷を失ったベイスターズだったが、その第3戦死闘の末巨人に勝利し、広島で行われるファイナルステージに進出する。梶谷の出場は絶望的と思われた。

 

 

 

 

 

しかしマツダスタジアムのグラウンドには梶谷の姿があった。ラミレス監督に出場を直訴し、薬指と小指をテーピングでガチガチに固め、それではグラブに指が入らないからと愛用していたグラブにハサミを入れていた。

 

 

 

 

そんな状態で梶谷はCSファイナルステージで敗退するまでの4試合をフルで出場し続けた。タイムリーを放ちホームランを放ち、守備ではダイビングキャッチでチームを救った。怪我をしていることをファンは忘れるほどだった。痛くないわけがない。骨が折れているのだ。

 

 

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この時ファンは気づかされた。梶谷隆幸は誰よりも熱く勝利に執念を燃やす男だったことを。

 

 

 

 

梶谷隆幸はこのまま終わるわけがない

 

 

日本シリーズに進出した2017年まで梶谷はレギュラーとしてチームの主力を担ったが、ここ2年は怪我と若手の台頭で出場機会が減っている。

 

 

 

特に怪我が完治したと自分でも公言していた2019年シーズンに2軍暮らしが長くなったのは自らの年齢とチームの中でのポジションが若手に奪われつつあることを梶谷に実感させた。2軍生活では様々なことを考えて過ごしたと語っている。マイナスな考えに陥ることはあっても梶谷は決して腐ることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 どれだけ若手が台頭してこようと、ファンは梶谷を愛し、2020年シーズンこそ外野の一角をまた担ってくれることを信じている。夏場鬼神のごとくライトスタンドにホームランを放ちまくった2013年、盗塁王を獲得した2014年、骨折をおしてチームに戦う姿を見せた2016年。自らの本塁送球が大きくバウンドし、日本一を逃した後グラウンドに崩れ落ちた2017年。

 

 

 

 

 

梶谷はチームに勝利をもたらす選手であることをファンは知っている。

 

 

 

 

ファンの梶谷への期待値はもっともっと高いところにある。32歳、現役生活があと何年か考える歳でもある。でも今一度、ファンが想像もしていないような「新たな歴史にその名を刻む」成績を残してくれるはずだ。

 

 

 

 

梶谷は熱い男だからだ。