公認会計士はNumber風にベイスターズを語る

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戸柱恭孝の逆襲にファンは歓喜する

 

 

 

 

捕手。野球の最も重要なポジション。投手をコントロールしながら、試合を俯瞰して支配する唯一のポジションだ。打撃成績やファインプレーなどではない目に見えないところでの活躍故、評価は非常に難しい。

 

 

 

ベイスターズの一軍捕手は今伊藤光、嶺井、戸柱、高城の四人が鎬を削り、正捕手の座を争っている。そこにきて今、戸柱恭孝が確かな光を放っている。今年でプロ5年目になる30歳のシーズンを過ごしている。

 

 

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戸柱は入団後正捕手の座をすぐに掴む

 

 

 

 

戸柱は駒澤大学進学後1年生から捕手にコンバートされる。捕手としてのキャリアのスタートはかなり遅く最初は抵抗があったと言うが、本人は「全ての経験があっていまがあると思っています。遠回りだとは思っていません」と語っており、その向上心と素直さがでている。

 

 

 

大学卒業後はNTT西日本に入社し、当初は控え捕手に甘んじていたが、入社2年目都市対抗野球大阪ガスの強化選手として加入するチャンスなどを活かし、同秋に正捕手の座を奪い、社会人ベストナインを獲得する。同年秋のNPBドラフト会議で横浜ベイスターズから4巡目指名を受け入団する。

 

 

 

 

2016年ルーキーイヤーは春季キャンプから1軍に帯同すると、開幕スタメン捕手を高城、嶺井らから奪い、1軍公式戦124試合に出場する。通算393打席で、打率.226本塁打2ながら、独自のフレーミング技術で投手陣を牽引し、チームの課題とされた前年シーズン公式戦最多記録を更新した暴投数68を39まで減少させ、チームに大きく貢献する。この年チームは史上初のクライマックスシリーズに出場する。

 

 

 

 

2年目の2017年は高城、嶺井らと併用されながら出場機会を確保しこの年は異常な勝負強さで存在感を示した。112試合に出場し、打率.214で、通算打席数(363)は規定打席に届かなかったが、9本塁打、52打点、得点圏打率.316を記録した。この年チームは3位ながらクライマックスシリーズを勝ち抜き日本シリーズに出場する。戸柱のベイスターズ加入がチームを飛躍させたと言っても過言ではなかった。

 

 

 

 

3年目、順調だったキャリアは突然崩れ去る

 

 

 

 

3年目も開幕スタメンマスクを勝ち取った戸柱だったが、開幕から打率が1割前後に低迷するほど打撃が振るわず、徐々に嶺井や髙城に出場機会を奪われるようになった。さらに、交換トレードでオリックスから伊藤光が移籍してきた7月中旬以降は、一軍公式戦への出場機会も失った。結局、一軍公式戦にはわずか25試合の出場で、打撃成績も前年を軒並み下回った(打率.179、1本塁打、6打点)。

 

 

 

この頃からラミレス監督は戸柱のリード面を問題視するようになった。ラミレス監督は戸柱がマスクを被ったときの防御率の悪さを指して明確に改善を求めている。

 

 

 

「そこは戸柱に数字を見せてはっきりと伝えました。もっとクリエイティブに投球パターンを考えなければいけない、と。データは8割、フィーリングが2割。キャッチャーは人が思うほど簡単ではないし、複雑なポジション。戸柱には才能がある。もっと打者を読み、理解することができれば、いいキャッチャーになれるし、相乗効果でピッチャーの力も向上する」

 

 

 

現役時代、ピッチャーよりもキャッチャーを分析して勝負してきたというラミレス監督の要求は高い。戸柱のリードはデータに手堅い配球と言っていい。しかしそこに甘んじてしまうと、何回も対戦をするプロはそのリードを先読みしてしまう。データ+感性。その感性の部分を求められたのが、この年だった。

 

 

 

 

戸柱の出場機会は2019年に入っても変わらなかった。移籍した伊藤光が正捕手に君臨し、チームの中での戸柱の存在感は急激に薄れていった。スタメンのチャンスを得ても時に大量失点をしてファームに戻るの繰り返しが続いた。

 

 

 

長いファーム生活。横浜スタジアムの熱狂とは異なる土煙舞うグラウンドで、戸柱はマスクをかぶり「感性を磨く」作業を続けた。迎えた2020年シーズン。戸柱は開花する。

 

 

 

 

戸柱は捕手として開花する

 

 

 

 

開幕当初こそスタメンマスクは主に伊藤光が務め、高城が濵口、平良が戸柱という位置づけだったが、平良-戸柱のコンビネーションの良さにラミレス監督も次第に戸柱のリードの成長を感じ始める。徐々に他の投手の時でも戸柱の出場機会は増え始め、リード面を問題視された伊藤光が7月19日に出場選手登録を外れて以降、ここまで戸柱が正捕手の座を奪還している。

 

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課題だったリードに変化が見られ、戸柱は再び“いぶし銀”の光を放ちはじめる。ベースとなる安定の配球に加え、ときに大胆に、またときには繊細にピッチャーをコントロールできるようになった。その点についてラミレス監督も評価している。

 

 

 

 

「配球の部分でかなりの向上がみられます。もちろん人間ですからミスはするのですが、以前の戸柱はそのミスが多かった。ただ、それは確実に減っている。キャッチャーとして理解しておかなければいけないのは、自分の配球が悪くて打たれたのか、あるいはピッチャーが失投して打たれたのか、それとも配球も完璧でピッチャーのボールも最高だったのにバッターが優れていて打たれたのか。こういった部分で戸柱の理解度は高まっている」

 

 

 

投手陣も戸柱のリードに助けられた旨の発言が多く残しており、投手陣の信頼の高さもうかがえる。

 

 

 

戸柱の逆襲にファンは歓喜する

 

 

 

正捕手をはく奪されたこの2年間、ファンは戸柱を見る機会が減っていたが、この期間の腐らず真摯に野球に向き合った戸柱にファンは敬意を示し、嬉しく思い、期待する。

 

 

 

 

首位巨人を追いかけ落とせない夏の戦いが続くベイスターズ。戸柱がまた、あの2017年の時にように高みに連れて行ってくれることを、ファンは願っている。

 

 

 

 

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