公認会計士はNumber風にベイスターズを語る

公認会計士の中で最も横浜ベイスターズファンと自負するファンがひたすらベイ愛を語るブログ。ただそれだけ。

ハマのガッツマン桑原将志の復活を刮目せよ!

 

 

 

なんとも懐かしいような気持ちである。開幕前恒例の解説者たちによる順位予想。以前は予想も結果も定位置だった最下位に腰を据えるベイスターズが、近年は上位に予想する解説者も珍しくなかった。しかし今年は解説者の予想は揃いも揃ってBクラス。今年こそはベイスターズが優勝するなどと言われてソワソワしていた近年から考えれば、非常に落ち着いた開幕を迎えられそうである。

 

 

 

しかしこの予想もやむを得ない。不動の4番キャプテンだった筒香アメリカに渡り、チームの精神的支柱ロペスは退団。長年チームを支えた梶谷は巨人へ移籍。近年のベイスターズの躍進を支えた投手陣も今永東をケガで欠き、救援陣も疲労が溜まり下降気味。昨年抑えをはく奪された山﨑の復活も不透明。加えてコロナの影響でソトオースティンエスコバーなどの外国人選手を欠くスタート。近年の強いベイスターズを支えた選手たちは軒並み消えて、今新しいベイスターズへ世代交代をしようとしている最中なのである。誰がどう見ても今年のチームは熟していない。

 

 

 

そんな気持ちでキャンプ、オープン戦と見ていたわけだが、全く予想にしていなかった、というか半分諦めていた選手が存在感を放っていた。

 

 

 

野球は流れのスポーツ、個人能力の合計点だけでチームの勝敗は決まらない。この選手がヒットを打つと、出塁するとチーム全体が乗る。不思議とそんな特別な選手が強いチームには必ずいるのだ。もしかしたらこのベイスターズの窮地を、敗色濃厚な雰囲気漂うシーズンを全く違ったものに変えてしまうかもしれない男が復活の兆しを見せている。

 

 

桑原将志が帰ってきたのだ。

 

 

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元は中畑監督に見初められたガッツマン

 

 

帰ってきたといっても桑原はなにかケガをしていたわけではない。ここ2年極度の不調に陥っていたのだ。元は2011年ドラフトで福知山成美高校を卒業後ベイスターズから4巡目指名を受けて入団した桑原は親会社がDeNAになってからの初めてのルーキー世代である。当時の中畑監督にそのガッツと潜在能力の高さを買われ、3年目の2014年頃から積極的に1軍で出場機会を掴んでいく。

 

 

 

粗削りながらここ一番での勝負、特に巨人戦に強く、延長12回でのサヨナラヒットなどチームを勢いづける活躍を積み上げていく。ムードメーカーとしても存在感を示し、どうしても使いたくなるような、ファンももっと見ていたくなるような選手にどんどん成長していく。

 

 

 

2016年ラミレス監督に変わった後、不動の1番として定着していく。打率は3割弱ながらその積極性とパンチ力のある打撃、盗塁も出来る足の速さ、圧倒的なセンターの守備範囲。誰からどう見てもチームに欠かせない選手に成長する。2017年はチームを日本シリーズに導き、チームの顔として背番号を37から1に変更する。

 

 

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何かがおかしくなり始めた2018年

 

 

チームの代表選手として不動の地位を築いた桑原の歯車が狂い始めたのは2018年からだった。元々勢いで乗っていく選手のため好不調の波が激しいのが特徴ではあった。月間打率4割以上を記録して月間MVPをとったかと思えば月があけると途端に打てなくなる。そんなことが続いて、徐々に"使いづらい"選手になっていったように思う。

 

 

 

乗っているときは自然とバットを強振するのに、不調の穴に入ると思うようにバットが出ずボール球に手を出し凡打を重ねる。いくら守備がうまくても打率が1割では監督も使いづらい。打ってチームを乗せる分、打たないとチームが途端に乗らなくなる。

 

 

 

2019年に入ると梶谷、神里やソトに出場機会を奪われ、2軍生活が長くなる。1軍に上がってきても打てず、守備固めに終盤起用されるだけ。2020年は完全に守備専としての使われ方しかされなかった。

 

 

 

 

ガッツマンの良さは守備固めでは全く発揮されない。レギュラーとして出て打ってチームを勢いづかせる。これが桑原の求めらている役割だ。だが打てない。どうしても打てない。

 

 

 

このまま桑原は守備固めで終わっていくのか、センター不足のチームにトレードされてしまうのか。半ばファンは諦めていたところもあったと思う。それくらい打てていなかった。

 

 

 

2021年桑原は復活する

 

 

しかしこの2021年、オープン戦まで桑原は存在感を示した。まず持ち前の守備力を発揮できたことがよかった。数試合で桑原しかできないようなファインプレーをいくつもやってのけた。そこから自分も乗っていけ、ここ2年で取り組んだであろう打撃の改善も実り、打率3割をキープし続け、久しぶりの開幕スタメンを手中にした。

 

 

 

桑原の復活は客観的に戦力で劣る今年のベイスターズを台風の目にもっていくだけの可能性を秘める。主力選手、外国人を欠くこの若いベイスターズを勢いづけることができるか。

 

 

 

開幕カードは桑原が得意とする2連覇中のジャイアンツ。数年間の悔しさをはらす時は満ちた。セリーグの番狂わせを起こすのはこの男だ。

 

 

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ハマの牛若丸は覚醒の道を辿るのか。柴田竜拓が見据えるこの先とは。

 

 

球場に行ってプロ野球選手を間近に見るとまず驚くのはその身体の大きさだ。ケツがめちゃくちゃでかい。野球のユニフォームって結構大きめなのだが、もう下半身とかパツパツなのだ。あとそもそも身長もめちゃでかい。今調べたら平均身長は181センチ。そりゃでかい。

 

 

 

でも長いことプロ野球を見ていると、稀に170センチに届かない選手が台頭したりする。180センチを超える選手に囲まれながら、圧倒的練習量と運動能力でポジションを獲得していく選手も稀に存在する。高校野球の開会式で神奈川県の全高校球児が集まる中で、身長も低くてダボダボのユニフォームを着て、強豪校のゴリゴリの同級生に囲まれて肩身が狭い思いをしてきた身としては、そういう選手は応援したくなるじゃないか。

 

 

 

ベイスターズにも今まさにレギュラーを掴みかけている小柄な内野手がいる。柴田竜拓。今年5年目の26歳だ。

 

 

 

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運動能力は並だが圧倒的守備力で台頭、課題は常に打撃にあり

 

 

柴田は岡山出身で家族の影響で小学3年生から野球を始める。中学は公式野球チームに所属し主に投手を務めるが、次第に内野手の面白さにハマり内野手に専念していく。高校は岡山理科大学附属高校に進学するも、甲子園の出場は無かった。

 

 

國學院大学に進学後2年秋から遊撃手レギュラーに定着し、3年生では21歳以下日本代表にも選ばれている。2015年にベイスターズからドラフト3位の指名を受け、プロ野球の世界に足を踏み入れる。

 

 

 

身長は167センチ。現役のプロ野球選手の中ではトップクラスに小さい。特に足が速いわけではないが、内野守備がとてつもなく上手い。派手さは無いが内野手のお手本のような綺麗な動きと球際の強さ、無理な態勢からの送球が抜群にうまい。今名手と呼ばれている源田、京田、茂木、吉川尚輝らが柴田の守備を参考にしていると明言するほどプロの中でも評価が高い。

 

 

 

課題はなんといっても打撃。小柄ながらパンチ力があり、力強いスイングでたまに目の覚めるような打球を放つが、プロに入って3年間2割台前半の打率を抜け出すことができなかった。

 

 

打てればレギュラー。これはよく言われることだが、ベイスターズでこの小柄な守備うまタイプの内野手が大成した例は少ない。小柄な選手は牛若丸と例えられ、活躍することなく"ハマの牛若丸"はお蔵入りしていく。藤田、内村、山崎(憲)、、、結局打てずにレギュラーを掴むことがなく引退していく。(藤田は楽天で覚醒)

 

 

 

この数年に柴田は二遊間の激しい選手間競争に揉まれながら、抜群の守備を一層磨きながらも、その打撃技術を着実に向上させていた。でも数値には現れず、守備固めとして起用が増えていく。あの守備をレギュラーとして見たい。ソトの二塁手も破壊力としては魅力だが、二遊間や一二塁間のゴロが抜けていくたびに、「ああ、もし柴田だったら、、」と考えずにはいられない。このまま柴田は便利屋として消えていってしまうのか。ファンはやきもきしていた。

 

 

 

2019年シーズン、柴田の打撃成績に変化が見られる。年間で見れば打率.256ながら夏場以降は3割以上の打率をキープし、OPSも.8に近い数字をキープした。これは本人がある"決断"をした結果というが、後に取り組んでいた逆方向への打撃を一旦捨てたことと明かしている。率を残すために取り組んでいた逆方向への打撃を捨てて力強いスイングによる引っ張りの打撃に活路を見出した。これがハマり、一二塁間に鋭い打球が抜けていくことが増えた。2019年は飛躍の年として位置づけられ、2020年シーズンを期待させた。

 

 

 

2020年はここまでほぼ全ての試合に出場し、.260の打率を残しており安打数も既にキャリアハイに近い数字を残している。捨てたはずの逆方向の打撃も力強いスイングよる好循環がもたらすものか、打球の質が確実に上がっている。

 

 

 

レギュラーはあと一歩。あくなき継続力でさらに技術を向上させて、圧倒的な打撃成績をもってレギュラーを掴み取ることができるか。もっともっと試合に出て、その小柄な身体で、ファンを魅了する守備を見せてくれ。

 

 

 

俺たちが待ち続けた、レギュラーとして躍動するハマの牛若丸の姿はすぐそこにある。

 

 

 

今三嶋一輝がめちゃカッコいい

 

 

 

三嶋一輝が今アツい。本人はそれを否定するのだが、2013年のルーキーイヤーから見てきた者として今が一番輝いている。めちゃくちゃカッコいい。

 

 

 

 

不調の山﨑康晃に代わって7月29日からクローザーのポジションに指名されたのは三嶋一輝だった。クローザーのポジションを任されてから既に1か月で8セーブをあげている。失点は巨人岡本のソロホームラン1本のみ。セーブ失敗はまだない。

 

 

 

 

ファンを裏切り続けてきたプロ生活

 

 

 

「自分ほど失敗をしてきた人間はいないと思いますね。期待されて、それを数えきれないほど踏みにじってきた選手ですから」

 

 

 

それはそうだ。法政大学で抜群の成績(4年の秋季リーグ戦では、投球イニング40回1/3で最優秀防御率(0.89)・最多勝利(4勝)・ベストナイン(投手部門)のタイトルを独占)を残して2012年ドラフト2位で横浜ベイスターズから指名を受けた三嶋は低迷するチームの即戦力先発投手として期待された。

 

 

 

ルーキーイヤーの2013年、三嶋は開幕当初から1軍に帯同し、5月頃からローテンション入りをして一度も2軍を経験することなく、6勝9敗防御率3.94を記録した。与四球率はその年の規定到達投手としてワーストと粗削りながら、奪三振は巨人菅野に次ぐ145個を記録し、1年目からファンの期待に応えたといえる成績だった。決して大きくはない身体から全身を使って全力でボールを投げ込むルーキーの姿に、次の年以降の成績を、新エースの誕生を期待したファンは少なくない。

 

 

 

しかし、2014年開幕投手として指名されたヤクルト戦で2回9失点で敗戦投手となった時から三嶋の歯車は狂い、この後長く低迷する。

 

 

 

ルーキーイヤーに記録したリーグ最多の79個のフォアボール。制球を求めるがゆえ全体のバランスを失い、三嶋の持ち味である躍動感が失われた。制球を気にするあまり球威が落ち、置きにいった甘いボールを被弾する姿を何度も見てきた。

 

 

 

2014年は結局8試合の登板で1勝2敗防御率10.88に終わると、その後2015年は復調の兆しを見せるも5勝止まり、2016年は1勝、2017年は0勝に終わった。

 

 

 

チャンスをもらっては打ちこまれることを繰り返した。自分の投球を模索してあがいていることはファンも見ていたが、結果が出なかった。「三嶋はもう終わった。」そう思ったファンは決して少なくなかった。

 

 

三嶋は中継ぎに活路を見出す

 

 

 

プロ6年目の2018年、三嶋に転機が訪れる。こだわってきた先発の役割から、救援専任として光明を見出す。当初は敗戦処理からスタートし、徐々に重要な役割を任されるようになり、ワンポイントリリーフからセットアッパーまで、勝ち試合でも負け試合でもフル回転の活躍をする。中継ぎながら1軍にフル帯同し、7勝2敗防御率3.97の成績を残す。久しぶりにファンが見た三嶋の輝きだった。

 

 

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中継ぎ転向後の復活劇にファンは感慨深い感情を持ったのは言うまでもない。一方で不安もある。中継ぎ投手が60試合というフル回転をした次の年に成績を落とすことは少なくない。

 

 

「疲れているから、ではダメな世界なんですよ。そこを言い訳にしたくないし、良かったシーズンの翌年ダメだったら一気に下降線をたどるのは自分が一番理解している。もう僕の年齢を考えれば、波がどうのとは言っていられない。何度も失敗してきた自分の野球人生。いろいろ感じてきた部分はあるので、それをいい意味で表に出して考えるよりも攻めていきたいんです」

 

 

 

その言葉通り、ファンの不安を振り払うかのように2019年のシーズンも三嶋は躍動した。防御率4.33ながら71試合に登板しチームの中継ぎ事情を支えた。三嶋はチームに欠かせない存在となった。

 

 

 

裏切ってきた過去を燃料に三嶋は今最高にカッコよく輝く

 

 

迎えた2020年、中継ぎ投手としてシーズンをスタートさせた三嶋は、7月29日にチーム事情からクローザーを任される。

 

 

 

ファンはまた不安を感じる。例年にも増して難しい場面で起用されること、ここ2年の疲労の蓄積なのか、序盤は打ち込まれることも少なくないシーズンだった。たしかにチームに欠かすことの出来ない投手となったことは間違いないが、チームのクローザーを任せられるのか。大きな期待と裏切られた過去。過去に囚われ三嶋を信じきれていないのはファンの方だったのかもしれない。

 

 

 

クローザーの座を与えられた三嶋は躍動する。150キロ以上のうなりあげる速球に鋭いスライダー、そして今年から取り入れた大きなカーブと鋭く落ちるフォーク。ここまで打たれることが想像できないほど打者を圧倒し、試合を完結させている。

 

 

 

もう三嶋は終わった、と誰もが思ったどん底からのチームのクローザーへの復活劇。ルーキーイヤーに夢見た三嶋のチームを背負う姿は、8年越しにクローザーという姿で実現されることになった。

 

 

 

「見返してやりたい」

 

 

三嶋は自分のモチベーションをこう表現するが、低迷した数年間を取り戻したい気持ちはまだまだ燃えている。最高にカッコいい三嶋の姿を、ファンも一緒に数年間の悔しい気持ちを晴らすべく、応援していたい。

 

 

 

 

戸柱恭孝の逆襲にファンは歓喜する

 

 

 

 

捕手。野球の最も重要なポジション。投手をコントロールしながら、試合を俯瞰して支配する唯一のポジションだ。打撃成績やファインプレーなどではない目に見えないところでの活躍故、評価は非常に難しい。

 

 

 

ベイスターズの一軍捕手は今伊藤光、嶺井、戸柱、高城の四人が鎬を削り、正捕手の座を争っている。そこにきて今、戸柱恭孝が確かな光を放っている。今年でプロ5年目になる30歳のシーズンを過ごしている。

 

 

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戸柱は入団後正捕手の座をすぐに掴む

 

 

 

 

戸柱は駒澤大学進学後1年生から捕手にコンバートされる。捕手としてのキャリアのスタートはかなり遅く最初は抵抗があったと言うが、本人は「全ての経験があっていまがあると思っています。遠回りだとは思っていません」と語っており、その向上心と素直さがでている。

 

 

 

大学卒業後はNTT西日本に入社し、当初は控え捕手に甘んじていたが、入社2年目都市対抗野球大阪ガスの強化選手として加入するチャンスなどを活かし、同秋に正捕手の座を奪い、社会人ベストナインを獲得する。同年秋のNPBドラフト会議で横浜ベイスターズから4巡目指名を受け入団する。

 

 

 

 

2016年ルーキーイヤーは春季キャンプから1軍に帯同すると、開幕スタメン捕手を高城、嶺井らから奪い、1軍公式戦124試合に出場する。通算393打席で、打率.226本塁打2ながら、独自のフレーミング技術で投手陣を牽引し、チームの課題とされた前年シーズン公式戦最多記録を更新した暴投数68を39まで減少させ、チームに大きく貢献する。この年チームは史上初のクライマックスシリーズに出場する。

 

 

 

 

2年目の2017年は高城、嶺井らと併用されながら出場機会を確保しこの年は異常な勝負強さで存在感を示した。112試合に出場し、打率.214で、通算打席数(363)は規定打席に届かなかったが、9本塁打、52打点、得点圏打率.316を記録した。この年チームは3位ながらクライマックスシリーズを勝ち抜き日本シリーズに出場する。戸柱のベイスターズ加入がチームを飛躍させたと言っても過言ではなかった。

 

 

 

 

3年目、順調だったキャリアは突然崩れ去る

 

 

 

 

3年目も開幕スタメンマスクを勝ち取った戸柱だったが、開幕から打率が1割前後に低迷するほど打撃が振るわず、徐々に嶺井や髙城に出場機会を奪われるようになった。さらに、交換トレードでオリックスから伊藤光が移籍してきた7月中旬以降は、一軍公式戦への出場機会も失った。結局、一軍公式戦にはわずか25試合の出場で、打撃成績も前年を軒並み下回った(打率.179、1本塁打、6打点)。

 

 

 

この頃からラミレス監督は戸柱のリード面を問題視するようになった。ラミレス監督は戸柱がマスクを被ったときの防御率の悪さを指して明確に改善を求めている。

 

 

 

「そこは戸柱に数字を見せてはっきりと伝えました。もっとクリエイティブに投球パターンを考えなければいけない、と。データは8割、フィーリングが2割。キャッチャーは人が思うほど簡単ではないし、複雑なポジション。戸柱には才能がある。もっと打者を読み、理解することができれば、いいキャッチャーになれるし、相乗効果でピッチャーの力も向上する」

 

 

 

現役時代、ピッチャーよりもキャッチャーを分析して勝負してきたというラミレス監督の要求は高い。戸柱のリードはデータに手堅い配球と言っていい。しかしそこに甘んじてしまうと、何回も対戦をするプロはそのリードを先読みしてしまう。データ+感性。その感性の部分を求められたのが、この年だった。

 

 

 

 

戸柱の出場機会は2019年に入っても変わらなかった。移籍した伊藤光が正捕手に君臨し、チームの中での戸柱の存在感は急激に薄れていった。スタメンのチャンスを得ても時に大量失点をしてファームに戻るの繰り返しが続いた。

 

 

 

長いファーム生活。横浜スタジアムの熱狂とは異なる土煙舞うグラウンドで、戸柱はマスクをかぶり「感性を磨く」作業を続けた。迎えた2020年シーズン。戸柱は開花する。

 

 

 

 

戸柱は捕手として開花する

 

 

 

 

開幕当初こそスタメンマスクは主に伊藤光が務め、高城が濵口、平良が戸柱という位置づけだったが、平良-戸柱のコンビネーションの良さにラミレス監督も次第に戸柱のリードの成長を感じ始める。徐々に他の投手の時でも戸柱の出場機会は増え始め、リード面を問題視された伊藤光が7月19日に出場選手登録を外れて以降、ここまで戸柱が正捕手の座を奪還している。

 

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課題だったリードに変化が見られ、戸柱は再び“いぶし銀”の光を放ちはじめる。ベースとなる安定の配球に加え、ときに大胆に、またときには繊細にピッチャーをコントロールできるようになった。その点についてラミレス監督も評価している。

 

 

 

 

「配球の部分でかなりの向上がみられます。もちろん人間ですからミスはするのですが、以前の戸柱はそのミスが多かった。ただ、それは確実に減っている。キャッチャーとして理解しておかなければいけないのは、自分の配球が悪くて打たれたのか、あるいはピッチャーが失投して打たれたのか、それとも配球も完璧でピッチャーのボールも最高だったのにバッターが優れていて打たれたのか。こういった部分で戸柱の理解度は高まっている」

 

 

 

投手陣も戸柱のリードに助けられた旨の発言が多く残しており、投手陣の信頼の高さもうかがえる。

 

 

 

戸柱の逆襲にファンは歓喜する

 

 

 

正捕手をはく奪されたこの2年間、ファンは戸柱を見る機会が減っていたが、この期間の腐らず真摯に野球に向き合った戸柱にファンは敬意を示し、嬉しく思い、期待する。

 

 

 

 

首位巨人を追いかけ落とせない夏の戦いが続くベイスターズ。戸柱がまた、あの2017年の時にように高みに連れて行ってくれることを、ファンは願っている。

 

 

 

 

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連敗はただの巡り合わせ。でも山崎康晃の復調無くして浮上なし。

 

かつてない混乱を経て待ちに待った開幕。小さくない不安と抑えきれない期待を抱えてファンは無観客の公式戦をテレビ越し、ネット越しに見つめて声援を送る。

 

 

 

下馬評通り順調に滑り出したかのように思えた。筒香を欠いた打線は新加入オースティンと新四番佐野の起用がハマり、ファンの不安を吹き飛ばすがごとく機能した。ここ数年辛い姿を見せてきた梶谷が傍目から見てもかつてない集中力と覚悟を持って試合に臨み、長年チームを悩ませた1番バッターの枠にはまり躍動した。宮﨑とソトはこれまでの実績にプレッシャーを感じないのか不思議なほど打ちまくる。誰かが打てない日は他の誰かが打つ。まさに好循環だった。

 

 

 

しかし、勝ち星が順調に積み上がり一気にペナントレースの上位に躍り出るのかと言えばそうはならない。不調な投手陣を打線がカバーしながら一進一退の戦いが続いた。6月26日から勝ちと負けが交互に続き、その数は7月15日まで16試合連続となる。これは長いプロ野球の歴史の中でも最長を更新した。

 

 

 

ファンはもどかしいながらも勝った負けたを繰り返す新チームに頼もしさを覚えていた。また楽観もしていたかもしれない。一つ噛み合えば連勝の波が来るぞ。と。

 

 

 

 

しかし、ついに歯車は噛み合わず、チームは悪い方に向かっていく。

 

 

 

 

7月16日に中日に連敗を喫してオセロ記録が途絶えてから、歯車が狂い始める。開幕から打ちに打っていた打線に陰りが見え始める。オースティンをケガで欠き破壊力は半減する。開幕から好調だった宮崎が7月16日に2本の併殺打を決めてからチーム全体での併殺打が急増する。ヒットは出るのに点が入らない。チームは勝てない。焦りがさらにチームを悪循環へと引きずり込む。

 

 

 

チームは7月14日以来今日まで勝ち星から遠ざかって借金3の4位に沈む。

 

 

 

長いシーズン。連敗はつきものである。どんなに良いバッターでも3割しか打てないこの競技で、百何十試合とこなすなかでこのような偏りがでることは仕方のないこと。連敗の後には必ず連勝がくる。今や戦力で劣っていないベイスターズはこのことはよく分かっている。

 

 

 

でもクローザーは違う

 

 

 

チームの勢いに偏りがあっても、チームが好調だろうと不調だろうと、クローザーだけは常にその仕事を全うしなければならない。勝った状態で9回のマウンドを受け持った以上、そのまま試合を終わらせる。チーム全員が繋いできた8回のバトンをゴールまで運ぶ。抑えて当たり前、打たれて非難。自らの好不調はそこに考慮されない。

 

 

 

その過酷なポジションを新人から丸5年守り抜いたベイスターズの守護神は山崎康晃だ。

 

 

 

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2014年ドラフト1位で指名された山崎康晃は、2015年ルーキーイヤーから頭角を現す。前年クローザーを務めた三上が怪我で不在の中、大抜擢を受けた山崎康晃は新人らしからぬ度胸と投球で37セーブの新人最多記録を打ち立て、新人王を獲得する。

 

 

 

 

成績だけではなく、球界屈指の明るさとファンサービスの良さも有名で、ファンとの触れ合いを大切にする選手でファンがとてつもなく多い。Twitterフォロワー数76万人以上はプロ野球選手で最も多い。常にプロ野球選手はファンからどう見られ、どうしたらファンが、人が喜んでくれるかを考えている。ファンは控えめにに言って山崎康晃が大好きだ。

 

 

 

 

以後5年間、山崎康晃ベイスターズのクローザーを務め、今や日本を代表するクローザーであるが、常に順調なキャリアを歩んできたわけではない。

 

 

 

 

2年目の夏場の不調や、3年目の開幕時の不調によるクローザー降板など、その日の出来がチームの負けに直結する過酷なポジションで、当時20代前半の山崎康明の顔から笑顔が消え、涙を目にすることもあった。しかし山崎康明は決して逃げることなく、この立場を築いてきた。その姿にファンは共に成長してきた気持ちは強い。

 

 

 

そして6年目の2020年、名実共にチームの顔となった山崎康晃に異変が起きている。ここまで10試合の登板でセーブ数6でセリーグ1位ながら防御率5.79、セーブは既に2度失敗している。三者凡退で終えた登板は、まだない。投げる日によって球質が毎回変わり、不安定な投球が続いている。

 

 

 

本来の姿でないことはファンもわかっているが、不安はない。このような危機を何度も歯を食いしばって持ちこたえてきたことを知っている。そして今回もそれが出来ることを知っている。ファンは山崎康晃の復調を待つ。山崎康晃の投球がチームの命運を握っているからこそ、待てる。

 

 

 

代わりはいない。ベイスターズの勝利の瞬間のマウンドは山崎康晃でなければならない。調子がいい選手と交換ができるポジションではないこの過酷な場所で戦っている山崎康晃を見ていたい。ベイスターズファンと山崎康明には特別な信頼関係があるからだ。

 

 

 

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カード一回りを終えて (7月4日 14/120消化)

現在開幕5カード目。カード一回りが終わろうという7月4日終了時点でのセ・リーグ順位表はこちら。

 

1位 巨人 10勝3敗1分け

2位 横浜 8勝6敗

3位 ヤクルト 7勝6敗

4位 広島 5勝6敗1分

5位 中日 6勝8敗

6位 阪神 3勝10敗

 

[総括]

巨人がスタートダッシュに成功。打線は岡本、坂本が牽引。特に岡本がエグい。丸も開幕当初は出遅れたが復調の兆しあり。心配されたリリーフ陣も意外と悪くなく、枚数は少ないものの中川とデラロサが安定しており勝ちパターンは固まりつつある(澤村の使い方。。)。先発は菅野完全復活に加えて2年目の戸郷、田口、桜井と若手が奮闘しており理想的なチーム状態に見える。

 

次いで横浜。筒香が抜けて心配された打線が好調。梶谷ソトオースティン佐野ロペス宮崎の打線は脅威でリーグトップの打率。先発陣は怪我に見舞われたものの、代役が踏ん張り崩壊した試合は少ない。リリーフが打ち込まれる場面も散見されるがストッパー山﨑に安定感が戻り接戦をものにしながら2位キープ。

 

3位は予想に反してヤクルト。下馬評通り投手陣は打ち込まれているが、それ以上に打線が打ちまくっている。特に20歳の村上が脅威的に打っており打線を牽引。西浦や山﨑などの伏兵も好調でバレンティン不在の影響を感じさせない。遊撃手に入るエスコバーも良い刺激になっている。例年通りの殴り合い戦法がここまで功を奏して健闘。

 

広島が4位。鈴木誠也が例年にも増して大暴れ。田中、西川、堂林、ピレラと好調だが若干の破壊力不足感が否めない。先発も大瀬良、九里、森下と揃うがジョンソンと床田がイマイチのため枚数不足感あり。なんといっても不調の要因はリリーフ陣。特に新ストッパーのスコットが誤算。ストッパーをいかに固定できるかが浮上の鍵か。

 

中日は5位。年々野手のレベルは上がってるがここ一番での判断や勝負弱さにかけ点数に結びつかないのは去年と大差無し。ビシエド、京田、高橋周平が好調だったのに平田が打てなかったのが痛かったように思う。投手陣も先発、リリーフ共に駒不足感が否めず、浮上のきっかけを掴み損ねている印象。

 

阪神が最下位。打てないに尽きる。福留が打てなくなったときが心配されていたがまさにその時がきたという感じ。先発も西と青柳が健闘するが、他の先発は不安定。中継ぎも能見をはじめ打ち込まれ、抑えの藤川も打たれるという始末。ベテランが引っ張ってきたチームだけに世代交代かベテランの奮起を再度期待するか、矢野監督の動きに注目。

 

 

 

以上総括。以下はベイスターズのことのみ。

 

野手総括

個人的MVPは成績で言うなら間違いなく宮崎、だけど打って当たり前感があるのでここは敢えて佐野。代打の切り札ポジションから4番かつ主将に指名されて心配されたが、自分を失わず開幕からホームランではなくヒットを量産。筒香の後を受けてホームランバッターではなく繋ぐ4番として出来ることをやっているのがこの破壊力抜群の打線の良い潤滑油になっている。ホームラン0本ながら打率.339打点8は十分機能してるといえる。

 

梶谷が1番として機能しているのも大きい。三振数が減り、出塁率が高いという理想的な1番バッターとして機能。これで盗塁成功率が上がるとかなりの脅威。調子キープしてくれええ。

 

ソトオースティンも攻められ方に苦労する面はあるけど、特に心配はいらなそうな雰囲気。オースティンはアグレッシブなプレイが多いので見ていて楽しい。ロペスも心配されてるけどそのうち打ち出すでしょう。老け込んだと見せかけてすぐ打ち出す男なので。

 

佐野がレギュラーになったおかげで代打陣が手薄に。楠本を積極的に使ってるけど、一皮剥けるといいなあ。これから代打枠の重要性に悩まされそう。

 

 

投手総括

ローテーションが1周で崩壊する事態に見舞われるも、よくやっている方かと。今永平良濵口が良いので上茶谷と坂本が戻ってくるまでは若手で凌ぐしかないのかな。こういう時にチャンス掴む若手がいると楽しいけど今日の中川チャレンジは撃沈。リリーフ陣の整備が急務だけど人の入れ替わりというよりかは投げてる人たちの調子が上がることに期待するしかない状況。パットンは今年かなり期待できそう。ヤスアキも心配されてるほどには心配いらないと思う。てか三上どこいった。

 

 

[最後に]

まだカード一回り終わったところなので、どのチームも手探り感がある印象。今年はCSないのでこのまま巨人が突っ走る感じだと久しぶりの包囲網が見れるのか。この勝率でこのまま進むことは無いから、落ちてきたときにどこが巨人を捲れるか、というシーズンになりそうなカード1巡目でした。

 

 

 

 

 

 

 

開幕直前!佐野恵太は横浜の四番となれるのか

 

 

 

 

野球は9人でやるものだ。良いチームは個性的で魅力的な1/9が揃っている。一人の圧倒的な選手がいても現代野球のペナントレースの頂きは掴めない。これは事実。

 

 

 

しかし、エース、四番、抑え。この3ポジションはチームの中心であり顔だ。これも事実である。ファンの人気を集め客を呼び、長いペナントレースの辛い時にはチームの核となり、プレーで背中でチームを引っ張る存在が必要だ。

 

 

 

 

特に野手である四番打者は投手と違い毎日試合に出るので、より一層大事な存在である。

 

 

 

 

横浜ベイスターズにて、この大事なポジションが今変わろうとしている。

 

 

 

 

私が知ってる横浜ベイスターズの四番打者といえば村田修一

 

 

 

私が野球を見始めた2000年頃、四番打者は不在だったように思う。1998年横浜を優勝に導き長い間四番を務めたロバート・ローズが退団し、しばらく四番を固定できなかった。

 

 

 

いるメンバーで四番を試行錯誤しながら、2003年から中日から移籍したタイロン・ウッズがそのポジションに収まるものの、2年ほどで退団したりと。私が観ていた中で初めて固定された正真正銘の四番は村田修一だった。

 

 

 

 

入団当初の2003年から力を付け続けた村田は、2006年から4番のポジションを獲得する。なんでっていうくらいに右方向に伸びる打球。反応の良い3塁手の守備でファンを魅了し、チームを引っ張った。時期を同じくしてブレイクした内川と後輩の吉村と共に組んだ内川村田吉村のクリーンアップは当時のベイスターズファンの自慢だった。

 

 

 

 

しかし村田の打撃成績のブレイクと反比例する形でチームは低迷し、村田は親会社がTBSからDeNAに変わった2011年にチームを去る。(個人的にこれはしょうがないと思ってる。あれだけチームに貢献してきて優勝のかけらも見えないのであればそれが出来るチームに移籍したいと思うのは当然かなと。とにかくファンがそう思ってしまうほど当時の状況はひどいものだった。。)

 

 

 

 

親会社がTBSからDeNAに入った黎明期ではまた四番打者の固定は困難となる。外国人選手や他球団からの移籍したベテラン頼みとなるため、長期的な四番打者の固定はできなかった。ヤクルトと巨人で活躍したラミレスが移籍して活躍したり、ブランコの瞬間最大風速はワクワクしたり、ノリさんは頼りになったりとそれはそれで楽しめたが、村田が見せてくれたチームの中心として顔として、チームメイトを引っ張ってくれる四番打者とは違ったのである。

 

 

 

そして筒香が登場するわけだ

 

 

 

2014年、筒香嘉智は突然開花した。鳴り物入りで2010年に入団した筒香は芽が出ていなかった。毎年のように変わるバッティングフォームに、ファンはやきもきした。

 

 

 

 

しかしファンがチームの真の四番を求めるのに呼応するように、筒香は突然開花した。以後筒香は怪我やラミレス監督の奇策を除き長くチームの顔として四番打者に座り、また主将としてチームを鼓舞してきたのだ。

 

 

 

 

CSと日本シリーズを経験してきたこの数年、チームとファンは筒香と共に歩んでいたと言っても過言ではない。野球の成績だけではないところでの筒香の存在とキャプテンシ―については球団が多くのメディアを通してファンに伝えている。

 

 

 

 

その筒香は2019年オフにMLBに挑戦し、タンパベイ・レイズに移籍が決まり、ベイスターズの四番打者は6年ぶりに空席となるのである。

 

 

 

 

ラミレス監督は常に先手で動く

 

 

 

歴史から紐解くに、新たな四番打者の固定には数年かかる。時代のスターが登場するのを待ち、育てていかなければならない。

 

 

 

 

しかし、ラミレス監督は動く。近年の優勝への期待の高まりから、悠長に四番打者が芽を出すのを待っているわけにはいかないからだ。監督は佐野恵太を指名した。

 

 

 

 

正直、賭けだと思う。実際佐野は下位指名で入団したとは思えないほど、この3年で非凡な打撃センスを見せつけ、成長してきた。持ち前の明るさでチームでもファンも人気の選手だ。しかしあくまでそれは控えでの話で、今年上手くいけばレギュラー掴み取ってくれるかなというところだったはずだ。

 

 

 

 

しかし、やるしかないのだ。筒香嘉智という偉大な打者で主将の後釜を据えることが優勝の必要条件であり、それが出来るのは佐野恵太しかいないとラミレス監督が腹を括ったのだ。

 

 

 

 

ファンももう何も言うまい。佐野にかかるプレッシャーと容赦なく見せつけられる結果を受け入れて共に闘う準備はできた。シーズンは長い。必ずや佐野とシーズンを完走し、歓喜の涙を流そう。

 

 

 

 

 

 

さあ、開幕だ。