公認会計士はNumber風にベイスターズを語る

公認会計士の中で最も横浜ベイスターズファンと自負するファンがひたすらベイ愛を語るブログ。ただそれだけ。

モーガンとかいうDeの心を離さないクレイジーなお祭り男

 

 

2013年、間違いなくベイスターズは熱くて楽しかった。バカみたいに打たれてバカみたいに打ち返して、バカみたいに負けまくった。5点差なんて関係ない。7点差もひっくり返した伝説の巨人戦もあの年だ。順位なんて関係ないこれが野球の面白さ。弱くたって楽しければいい。

 

 

 

そう、あの暗いトンネルからファンが久しぶりに弱くても野球が「楽しい」と言えたあの年。中心にはあの選手がいた。ガッツ溢れるプレーと不可解なポーズで瞬く間にベンチとファンを一体化させ、風のように1年で去っていったあのクレイジー野郎。1年のプレー期間で今でもファンの心に残り続け、あそこまで愛される選手を俺は知らない。

 

 

 

今日はナイジャー・モーガンの話だ。

 

 

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MLB屈指のクレイジーな問題児として来日したモーガン

 

 

モーガンは2013年、横浜にやってきた。この時既にマイナーリーグも含めるとメジャー時代のキャリアは10年で、33歳で日本に来たことになる。

 

 

 

ベイスターズによるモーガン獲得報道が出るやいなや、来日前からMLB時代のクレイジーエピソードが広まり始め、ファンは戦々恐々とした。以下モーガンの問題児っぷりを列挙する。

 

 

① 相手選手の放った大飛球に対してフェンス際でジャンピングキャッチを試みるも失敗、フェアグラウンド内に転がるボールに気づかないモーガンは自分がボールをスタンドに叩き込んでしまったと勘違いし、激昂。グラブを地面に叩きつけてボールと反対方向に歩きランニングホームランを献上。

② ヤジに怒ってスタンドにボールを投げつけファンを負傷させる。

③ けん制死を監督に諫められ逆ギレ。打順降格となった翌日全然関係ない相手捕手にタックル。

④ 余裕セーフのタイミングで相手捕手にタックルし負傷させる。報復死球を食らうが負けじとすぐさま大差ながら二盗、三盗をしかけ煽る。次の打席でまた報復死球を食らい大乱闘を起こす。四人退場となる。

⑤ 三振した後紙たばこを相手投手に投げつけ乱闘を引き起こす。

 

 

 

 

 

ファンは身構えた。

 

 

 

明るいキャラでキャンプで目立つもパッとしない出だし

 

 

そんな前評判と共に来日したモーガンは当初からハイテンションだった。彼はMLB時代から愛用している「T」を両掌でつくるTポーズを連発した。これはモーガンが野球選手の際に使用する「トニー・プラッシュ」という別人格のイニシャルである。ヒットを打った時、ファンの声援にこたえる時、サインするとき、すれ違いざまに、Tポーズを連発し、面白外人の地位を早速確立した。オープン戦の成績はさっぱりだった。

 

 

 

開幕しても成績はさっぱりだった。開幕から1か月で打率.132、守備もイマイチ、4月20日には調整のため2軍送りとなった。5月に復帰されるも期待される成績とは程遠く、ベンチを盛り上げてはくれるが、ダメ外人、ネタ外人、日焼けした左打ちの稀哲と散々な言われようだった。

 

 

 

しかし本人は、どこ吹く風。「俺はスロースターターだから調子をあげるのは6月以降」ときっぱり宣言していた。ファンは大半が信じていなかったが、本当に6月以降にモーガン旋風が巻き起こることになるとはまだこの時知る由もなかったわけである。

 

 

 

 

覚醒する「T」の申し子モーガン

 

 

6月15日の西武戦で人生初の3番DHを任されると、牧田から逆転のスリーランホームラン、バントヒットなどで大暴れをし初のお立ち台にあがる。ここを皮切りにモーガンは打ちまくる。

 

 

 

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ホームランをバカスカ打つと思えば、絶妙なセーフティバントで一塁エキサイティングシート付近まで駆け抜けファンにTポーズ。センターライトの守備では持ち前の快足を飛ばして縦横無尽に駆け巡りファインプレーを連発。捕球してアウトを取る度に外野スタンドに向かってTポーズ。

 

 

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最初は一人でやっていたTポーズも瞬く間にチームに浸透し、チームは謎のイニシャルT集団と化し、ファンもモーガンを目にすればTポーズ。モーガンは完全にチームとファンを一体化させ、虜にした。

 

 

 

不安視されていた素行も、蓋を開けてみれば非常に優等生な受け答えに献身的なプレースタイル。なによりモーガンは日本の野球を愛していた。メジャーではこのTポーズは真面目にプレーをしていない、相手を侮辱すると捉えられあまり快く受け取られないことが少なくなかった。一方で日本ではチームが、ファンがモーガンのスタイルを受け入れみんなが真似をした。メジャーではないファンが応援歌を歌うというスタイルも気に入っており、モーガンの応援歌に合わせてモーガンが打席をコンコンコンとバットでたたく姿はファンの記憶に残っている。

 

 

 

 

モーガンが残したものは大きい

 

 

結局モーガンは2014年の契約で折り合いがつかず、一年で日本球界を去ってしまった。モーガンとTポーズはファンの心に刻まれたまま姿を消したのだ。

 

 

 

今となっては休日平日問わず満員御礼の横浜スタジアムであり、ファンとチームの一体感が売りのDeNAだが、暗く、ファンと選手の心が離れていた2010年前後の数年間、そこから人気球団への変貌を遂げる鐘を鳴らしたのはたしかにモーガンだった。

 

 

 

トニープラッシュという別人格も「野球選手はエンターテイナー。観客にみせる試合は舞台と一緒」という持論から作り出した、モーガンなりの答えである。

 

 

 

ファンを楽しませることを常に意識したプレー、言動。ファンを楽しませるためならどんなことでも率先して行動する。そういう空気が今チームにはある。ここが人気球団に変わった理由だ。モーガンベイスターズに残したものは大きかったと言わざるをえない。